フィンランド公共図書館:躍進の秘密

フィンランド公共図書館:躍進の秘密

吉田右子教授(筑波大学図書館情報メディア系)と坂田ヘントネン亜希さん(フィンランド,エスポー市,エントレッセ図書館員)と本を執筆しました。

(内容紹介)
この10年間で、公共図書館を取り巻く状況は世界的に悪化していると言える。新自由主義の影響は国を問わず深刻なものとなり、公共サービスに関しても市場価値が最優先され、弱体の一途を辿っている。そんな状況のなか、公共図書館がとびきり元気な国がある。それがフィンランドである。世界一意欲的に使われているフィンランド公共図書館、その秘密はいったいどこにあるのだろうか。
確実に言えることは、フィンランド社会の目標である平等の達成に、公共図書館が直接結び付いているということである。公共図書館は、すべての住民に情報と文化へのアクセスを保障する公共機関である。フィンランドではすべての自治体に公共図書館があるため、情報と文化へのアクセスが文字通り100パーセント保障されている。また、公共図書館は切れ目のない生涯学習を約束する場所ともなっている。無料の公共図書館があることで、人は学びたいときに躊躇せずに学びを再開することができるのだ。このような背景もあって、フィンランド公共図書館は伝統に安住することなく、新たな挑戦を恐れずに前に進み続けている。
世界大戦や大国との関係に翻弄され厳しい自然環境のなかで経済的に貧しかったフィンランドが、公共図書館をはじめとする強靭な文化保障制度を作り上げるまでには長い年月がかかっている。決して平坦ではない道のりがゆえに、培われた創造的な文化がフィンランドの公共図書館にも根付き、市民とともに革新的なサービスを追求し続けてきた。その結果、「情報と文化へのアクセスの保障による社会的平等の実現」、「切れ目のない生涯学習への約束」、「既成概念に捉われない革新的サービスの創造」が、フィンランド公共図書館の躍進の秘密となった。
(よしだ・ゆうこ)

筑波会議:筑波大学図書館図情メディア系のセッションのお知らせ

筑波会議は、研究者や起業家、そして様々な分野で活躍する若手人材が一堂に会し、グローバル化した社会における科学技術の未来について深く考えるとともに、社会が抱える課題、その科学技術による解決策を探すための場として発案されました。

世界中からおよそ500人の未来のリーダーたちが筑波研究学園都市に結集し、様々な課題についての議論やディベートを通じてその解決に向けた提案やアクションプランをまとめ、それらを地球・社会・人々へ向けて発信していく。筑波会議はそのプラットフォームとなることを目指しています。

10月3日には以下の日程と内容で筑波大学図書館図情メディア系のセッションが開催されます。セッションでは、情報の質を管理できる社会教育機関の図書館、博物館、文書館を通し、サイバーとフィジカルな両空間に対していかに良質な情報が提供されうるのかを考え、またそこで得られた良質な情報に基づく議論の場を新しい公共圏として捉えてその在り方を論じます。その上で、現代社会の「分断から再統合へ」をテーマに、日本、米国、北欧という異なった社会システムの観点から、これからの民主主義の在り方および良質な情報に基づく議論を展開できる公共圏の創出法を検討します。

(概要)

日時:10/3(木) 13:30 – 15:00

場所:つくば国際会議場 201A 会議室

題目:Society5.0における持続可能な民主主義社会と新しい公共圏の創出

(登壇者)

・小泉公乃(筑波大学 図書館情報メディア系)

・Michael Widdersheim (アメリカ エンポリア州立大学)

・Jamie Johnston(ノルウェー オスロ・メトロポリタン大学)

(モデレーター)

・田辺 智子(国立国会図書館 電子情報部 電子情報サービス課)

(セッションオーガナイザー)

・吉田 右子(筑波大学 図書館情報メディア系)

図書館情報メディア系のセッションの概要筑波会議へのリンク

参加登録はこちらのリンクから(参加登録の締め切り:9/13)

登録に際しては,以下のセッションをご選択して下さい。

    [Day2] October 3 (Thu.) 1:30PM-3:00PM “Concurrent Sessions”

   Creating a Sustainable Democracy and a New Public Sphere in Society 5.0

締め切り:9/13 (金)

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(ENGLISH)

Notice of Tsukuba Conference Session by “Faculty of Library, Information and Media Science, University of Tsukuba” 

Tsukuba Conference is designed for young researchers, entrepreneurs and other young experts in various fields to share their ideas to enhance a deeper understanding of the future of science and technology, and on the wide range of challenges and solutions that science and technology can generate concerning the global society.

By bringing together approximately five hundred future leaders from all over the globe to Tsukuba Science City, Tsukuba Conference will provide them with a platform to discuss and debate issues, to put together action plans and proposals in the course of their discussions, and to reach out to the global community.

Faculty of Library, Information and Media Science, University of Tsukuba will conduct the following session on the 3rd of October.

The session discusses the ethical and inclusive ways of providing high-quality information to the cyber and physical public spheres through libraries, museums and archives. The session also considers ways to create a new public sphere in the democratic society based on perspectives from Japan, the U.S., and Nordic countries. The theme of this session is “From Division to Reunion”.

Information of the session is as follows:

Date:     10/3 1:30 – 3:00pm

Location:  Tsukuba International Congress Center, 201A meeting room

Subject:   Creating a Sustainable Democracy and a New Public Sphere in Society 5.0

Speakers: 

             Following young researchers will discuss about the topics.

             Dr. Masanori Koizumi (University of Tsukuba, Japan)

             Dr. Michael Widdersheim (Emporia State University, US)

             Dr. Jamie Johnston (Oslo Metropolitan University, Norway) 

Moderator : Satoko Tanabe(Digital Information Services Division Digital Information Department, National Diet Library)

Session Organizer : Yuko Yoshida (Faculty of Library, Information and Media Science, University of Tsukuba)

Brief of our session:

Registration

  Please register in here: 

  Please choose below session

   [Day2] October 3 (Thu.) 1:30PM-3:00PM “Concurrent Sessions” 

  Creating a Sustainable Democracy and a New Public Sphere in Society 5.0

   Deadline: September 13rd (Friday)

Session will be held in English

BOBCATSSS2019

欧州の図書館情報学分野の国際会議BOBCATSSSに6件の査読が通り、研究室のメンバーと共に発表してきます。プログラムの詳細はこちらです。

  1. Issei Suzuki; Masanori Koizumi. Transformation of Library Management for the Social Inclusion: Case Analysis of the Hood River County Library District
  2. Asmae Zaidane; Masanori Koizumi. Data Librarians and Research Data Services in Academic Libraries: Roles and Current Situation
  3. Ryoko Uragami, Tomoya Igarashi, Marika Kawamoto, Issei Suzuki, Masanori Koizumi and Keiko Sakai. Development of Reading-Related Programs for Teenagers: A Survey of Components of Teen Services in Japanese Public Libraries
  4. Marika Kawamoto; Masanori Koizumi. Dimensions of Libray as Place: a Qualitative Content Analysis
  5. Masanori Koizumi; Håkon Larsen. Public Libraries and Democracy in the Nordic Model
  6. Tomoya Igarashi; Masanori Koizumi; Miki Kozakura. New Roles and Evaluation of Public Libraries: Experience, Involvement, Empowerment, and Innovation

AXHUM Consulting(株式会社アクサム)と共同研究の契約を締結

小泉公乃研究室(図書館・公共経営研究室)は国内最大で世界的なブランディングコンサルティング会社であるAXHUM Consulting(株式会社アクサム)と共同研究の契約を締結しました。

研究課題は「21世紀型図書館におけるブランディング」です。

アメリカ図書館協会(ALA)元会長(コートニー・ヤング氏)の講演会

ALA元会長の講演(米国大使館主催)がありますのでご案内いたします。平日ですがご関心がありましたら,ぜひいらしてください。私は司会として参加予定です。

なお万が一,意見を求められても日本語ですから,どうぞご安心ください。

アメリカ大使館主催:平等な情報アクセスの機会を社会に! アメリカの図書館における男女共同参画社会への取り組み

コートニー・ヤング氏(Courtney L. Young)
アメリカ図書館協会(ALA)元会長

開催日時:2017年10月12日(木) 15:30~17:00(開場: 15:00)
対象:社会人・学生
地域:アメリカンセンターJapan
住所:東京都港区赤坂1-1-14 野村不動産溜池ビル8階
使用言語:英語・日本語
協力:日本図書館協会
参加費:無料定員60名
通訳:日英同時通訳あり

(詳細はホームページへ)
https://americancenterjapan.com/event/201710125517/

三田図書館・情報学会 月例会(第172回)

三田図書館・情報学会の月例会で,「図書館経営におけるイノベーション」というテーマで発表をしてきます。

テーマ:図書館経営におけるイノベーション
発表者:小泉公乃氏(筑波大学)
日時:2017年9月16日(土)午後2時~4時
場所:慶應義塾大学(三田キャンパス)南館地下2階 2B23

概要:図書館経営は20世紀初頭から経営学と共に発展してきた。経済の後退と技術の革新によって社会が大きく変わりつつある現代では,図書館経営においてもさらなるイノベーションが求められている。しかし図書館経営を学習・経験する機会は限られ,かつ図書館長への異業種からの登用も進み,図書館の理念・理論を理解した上で経営ができる人材は不足している。そこで本発表では,これまでの図書館経営におけるイノベーションを概観し,最新の動向を解説した上で,あるべき図書館経営の姿を共に考え,学ぶ機会としたい。

(引用)http://www.mslis.jp/monthly.html

図書館の組織形態と業務の変遷:東京都立図書館の事例分析

前日ですが,研究発表のご案内をしておきます。

三田図書館・情報学会 2010年度研究大会」にて,研究発表を致します。

日時:2010年9月25日(土) 16時10分~16時30分
題目:図書館の組織形態と業務の変遷:東京都立図書館の事例分析
場所:慶應義塾大学三田キャンパス北館ホール

継続研究なので,問題意識などは前回の研究発表の際にご案内した内容と同じものです。

図書館の組織形態と業務の変遷: 国立国会図書館の「組織規程」と「事務分掌内規」の分析

ここのところ忙しくしておりまして,ブログを更新できませんでした。このブログにメモ(自分用で非公開)は残しているのですが,それを公開するための文章に書き換えるエネルギーを割けずにおりました。

本日は,研究発表のご案内です。

2010年日本図書館情報学会春季研究集会(第一会場)にて,研究発表を致します。

日時:2010年5月29日(日) 10時20分~10時50分
題目:図書館の組織形態と業務の変遷:国立国会図書館の「組織規程」と「事務分掌内規」の分析
場所:同志社大学 今出川校地(新町キャンパス 臨光館)

この研究発表の背景を書いておこうと思います。

これまでの研究発表で,図書館経営に関する研究が少なく,図書館経営の現場の意志決定の基礎となる図書館に根ざした実証的な図書館経営論が皆無に等しい状況を述べてきました。

例えば,アメリカの図書館では営利企業を対象に開発されたSERVQUALを図書館に適用しようとして,なかなか成果を上げられませんでした。また,ISO 11620は,営利組織を対象とした経営理論であるバランス・スコアカードを基礎に考案されたもので,実際にはあまり使われておりません。つまり,図書館界で用いられている経営理論のほとんどが営利企業を対象とした経営理論を図書館に適用しようとしたもので,あまりうまくいっていないということです。

これは,もとを正せば,図書館に価値を置いた実証的な経営理論(図書館経営論)が存在しないことが理由だと思います。「では,いったいその図書館経営論は何なのか」「具体的にどうやって図書館経営を考えていけばよいのか」といったときに,その答えを図書館界は明確に持っていないわけです。

また,このように実証的な根拠に基づかないことによる影響は,図書館経営の教科書にも及んでいます。具体的には,多くの図書館経営の教科書(の特に「経営」に関する部分で,「政策・法律」の部分は除く)は,営利企業を対象にした経営理論が説明されているか,個人の経験や感覚に基づいた説明がされているということです。つまり,実証的な根拠に基づいた理論的な説明がなされず「そうだからそうだ」という状況に陥っております。(これは研究がないのだから,そうならざるを得ない状況です)

そうなると,さまざまな状況が生じる図書館経営の現場においては,せっかく「図書館経営論」の授業などで学んだことが現場の意志決定に結びつかないということになってしまいます。おそらく,「図書館経営論」の講義は受けたことはあるけれど,いざ経営に携わる立場になるとどうしてよいのかわからないというご経験をされた方もいらっしゃると思います。それは,図書館界に実証的な研究に基づいた図書館経営の理論がないからです。

これらのことを踏まえまして,実証的な研究に基づいた図書館経営論の第一歩(まだまだ本当に前段階ですが)を学会で発表いたします。まだまだ始まったばかりで,多くの方のご意見を頂かなければならないと思っています。

図書館で働く人たちが,自らの手で楽しくいきいきと前向きな意志決定をしていくことができるようになったらいい。経済合理性に流された効率化と縮小ではなく,イノベーションの実施と拡大になったらいい。長期的な視点に立って,明るい図書館の将来像を描けたらいい。そうなるために,図書館経営は何ができるのか。そして,研究者の私には何ができるのか。

もし,学会にお越しいただける方がいらっしゃいましたら,未来の明るい図書館のためにご指導を頂けますと幸いです。

日本の公立図書館経営における組織形態(研究文献レビュー)

 カレントアウェアネス(No. 303)で,日本の公立図書館の組織形態に関する研究文献のレビューを行ないました。

小泉公乃. 日本の公立図書館経営における組織形態. カレントアウェアネス. 2010, (303), CA1714, p. 28-34.(http://current.ndl.go.jp/ca1714

 ご案内が遅くなってしまいましたが,よろしければ何かの参考にしていただけますと幸いです。