修士課程を無事に修了しました。

本日,日吉記念館で「学位授与式」があり,無事に修士課程を修了いたしました。
ご指導を頂いた皆さま,本当にありがとうございました。来年度から,博士課程に進む予定になっておりますので,引き続きご指導をいただけますと幸いです。

きょう,なかなか面白いと思ったのは,塾長からのメッセージ(式辞)です。それは,「経営者がトップとして心にしっかり持っておくべき」とよく言われること(の一部)に,その内容が近かったことでした。簡単に言えば,それは,「オリジナリティのある知識(価値)を創出する(した)ことの大切さ」や「長期的な展望に立ってブレないことの大切さ」です。

「組織は,トップの器以上に成長しない」とよく言われますが,きっと,「トップの器」と塾長が式辞でおっしゃっていた「先導者」などがリンクしているのだと思います。

もちろん,塾長は上記以外のこともいくつかおっしゃっています。

いつか,式辞が大学のホームページにアップされるかと思いますので,お時間のあるときにでもみてみてください。

p.s.
 トヨタの次期社長である豊田章男が打ち出している「プリウスの低価格戦略」が,メディアから叩かれています。プライシングは企業理念の表われであるとされています。今,ホンダのインサイト(低価格ハイブリッドカー)に押されて,プリウスのプライシングが,かなりブレています。これもトップの器でしょうか。

顧客の声と行動と無形価値の創出。

NHKの「経済羅針盤(本日最終回)」に日本マクドナルド社長の原田泳幸さんがでていました。

原田さんは,私が好きな経営者のひとりです。その徹底した経営は経営界で有名になっています。どれほど徹底した人かということは,たとえば,「ゴルフのスコアを短期間で上げようとして,必死に練習をしたら疲労骨折をした」というほどです。そして,原田さんは日本マクドナルドの過去最高益を達成しています。

さて,番組で原田さんは,

「顧客がいうことと,実際にやっていることにはギャップがある」とおっしゃっていました。

たとえば,「サラダが欲しい。健康志向の商品が欲しい」といっておきながら,「実際にはビーフをたくさん入ったものをたべる」とのことです。企業は,企業価値を高めるために,顧客の要求に応えないといけません。しかも,潜在的な要求(ニーズ)に応えることが大切とのことでした。

つまり,よく「顧客の声に耳を傾けなさい」ということがいわれますが,それは,「顧客の潜在的な要求(ニーズ)に着目しなさい」ということです。

「潜在的な要求(ニーズ)に着目し,顧客の期待を超える価値を創出し,需要を掘り起こしたこと」の結果が,現在の日本マクドナルドなのだと思います。

日本マクドナルドは,過去5年間,世の中が単価を上げる中で,単価を下げる商品(100円バーガーや120円コーヒー)を出しています。

そして,今,世界同時不況において世の中が単価を下げる中で,単価を上げる商品(Quarter Pounder:セットで800円くらい)を打ち出しています。

原田さんは,「価格を考える前に,(顧客にとっての)価値を考えなければなりません」とおっしゃっていました。しかも,予算などが厳しい環境下においては,「無形の価値(利便性,サービス,信頼など)」を考えなければならないとのことでした。

よく,経営の現場にいると,特に飽和した市場において「打つ手がない」という状況になることがあります。そのときに私たちが考えるべきことは,「本当に,顧客の潜在的な要求(ニーズ)をみようとしていたのか」,しかも,「無形の価値をみようとしてきたのか」ということだと思います。

特に「無形の価値」は,予算が少なくとも,社員(あるいは職員)の知恵を働かせることで創出することができます。基本的に予算が厳しくなるといわれている図書館においても知恵を働かせることはできるのでは,ないでしょうか。

では,潜在的な要求への着目の仕方は,どうすればよいのか。

これについては,どこかで別途,ご説明したいと思っています。

社員の内部化と企業の長期的な成長力

 不況の煽りを受けた日本企業(主に製造業)において,派遣社員などの期間従業員に関する契約うち切りが進んでいますが,一部の大手企業では積極的に正社員化を行なっているようです。

 ここに組織戦略の差が垣間見えます。

(1) 期間従業員を調整弁として使うと割り切って契約を打ち切る(これまで期間従業員に投資してきた金額[製造のノウハウ]を捨てても,これからの人件費を削りたい)

(2) 期間従業員が身に付けた製造のノウハウ[投資してきた教育費]を中・長期的な成長に繋げたいから,あえてこの厳しい時期に直接雇用に切り替える(ベアゼロ[むしろマイナス]回答で下がりがちな社員のモチベーションを上げる効果も狙いたい)

 市場が伸びているときは,すべての企業が成長します。

 市場が伸びているときに他の企業よりも3倍の成長をし,市場が縮小しているときは他の企業よりも減益幅が1/2で済む,という組織にするためには,どのような組織にしていけばよいのか。不況なときに元気になるために経営者は何をすべきなのか。

 厳しい環境においてこそ試される経営手腕であり,そのための経営者です。
 
 図書館の市場環境も,今後,じわじわと厳しくなってくることが予想されます。

 そのとき,短期的な利益を求め,容易なアウトソーシング(指定管理者制度など)に頼ったり,そこで雇用した非正規職員を解雇することで,図書館が積み上げてきたノウハウ(歴史や文化も)が消えていかないことを心から祈っています。

 ノウハウ(歴史や文化)は,森林のようなものです。一度失われた自然を元に戻すのに,どれだけの時間を要するのか,気の遠くなる話です。

 非正規職員化やその解雇は,誰でもできる容易な打ち手であり,諸刃の剣になることだけは,忘れないで欲しいと思います。

個人の総計を超える力。

本日,ワールド・ベースボール・クラシックの日本対韓国戦があり,日本の大勝(7回コールド勝ち)でした。

不振だったイチローがヒットを放ち,他の選手もそれに影響されるかのように,次から次へと打線が繋がりました。ベンチの雰囲気も非常によかったのだと思います。

個人のポジティブな言動や行動の結果が,チームの他のメンバーのポジティブな行動に繋がり,ネガティブな要素さえもポジティブに向かわせていく。そして,個人の力の総計を超えるチームの力を発揮することが可能になる。

KBSの高木晴夫氏は,これを「チーム効力感」と呼んでいます。

これは,組織のトップに立つ原監督やキャプテンのような役割を担うイチローのマネジメントの成果であると思います。(もちろん,日本中のみなさんからの応援も,それを後押ししたのは間違いないでしょう。)

業務が拡大する中,組織の人数が現状維持か減少傾向にある図書館において,その解決のカギ(のひとつ)を握るのはマネジメントであり,「チーム効力感」による生産性の向上にあるのだと思います。図書館から,個人の力の総計を超えるチームの力を発揮した事例が出てくることに期待したいです。また,そのような支援もしていきたいと思っています。

『明日を支配するもの』(ドラッカー)

“産業を一変させた変化の多くは,他の産業から生まれた”

特に,ドラッカー信者でもないのですが,気になったので言葉をメモしておきます。

(書誌的事項)
P.F.ドラッカー著; 上田惇生訳. 明日を支配するもの: 21世紀のマネジメント革命. 東京. ダイヤモンド社. 1999, 254 p.

図書館の競合と潜在利用者。

有料自習室の利用者の声に,「粘れる喫茶店がなくなっています。図書館は混んでいて夜は早めに閉鎖するし,家でも家族に遠慮したりテレビなどの誘惑が多かったりで集中できない」(「有料自習室,なぜ増える」日本経済新聞:2009年3月1日朝刊)というものがありました。最近,有料自習室が増加しているとのことです。

それでは,公立図書館で自習室を大量に提供すればよいかといえば,単純にそういう話でもありません。公立図書館には,公立図書館の経営理念や経営目標があって,それに基づいたバランスのよいサービスを提供する必要があるわけです。

ただ,ここでのポイントは,(当然のことかもしれませんが)利用者が勉強をしようとしたときに,図書館が有料自習室と並んだ選択肢のひとつに入っていたということです。勉強をする場を提供するサービスについて,いくつか選択肢が利用者にあることから,喫茶店や有料自習室が図書館の競合となっていることがわかります。このときに,図書館や企業がこのサービスを意図しているか,意図していないかは関係ありません(例えば,勉強することを望んでいない喫茶店も多いわけです)。

図書館のどのサービスに利用者がどれだけの期待をしているのか。

利用者が図書館に期待している各サービスの市場規模がどれだけあって,そのうちどれだけの利用者に対して,自分たちのサービスを利用してもらいたいのか。また,逆に,どれだけの利用者を取りこぼしているのか。自分たちが利用して欲しいサービスに限らず,利用者が図書館に期待しているサービスには何があるのか。また,そのサービスが図書館にないなら,その利用者は他の民間企業のどのようなサービスを利用しているのか。

意図しないサービスを提供はする必要は全くありませんが,少なくとも,このように市場(利用者の状況)を図書館が常に把握し続けていることは,非常に重要なことだと思います。(市場を理解した上で,サービスを提供しないという判断をしている状況をつくるのが大切ということです)

「異業種格闘技」と言われる現代の経営です。

このように市場を把握し続けていることは,図書館の価値を急激に低下させる競合が現れることを早めに察知できるなどのメリットもあるでしょう。

市場の把握の仕方については,また,別の機会に書きたいと思います。