図書館なんかに行かない。

図書館・情報学に日々触れていると,周囲に集まる人たちも自然と図書館・情報学に関係する人たちが多くなります。

先日,図書館と疎遠な業界の人たちにお会いする機会があったのですが,ほとんどの人(同席した10人程度すべて)が,「図書は本屋かアマゾンで買う」,「図書館なんかには行かない」,「今,言われて図書館を思い出した」というのです。

「あぁ,そうなんだなぁ」,「図書館“なんか”・・・行かないんだよなぁ」と思いました。

そういえば,以前,前職の方々(十数人)にお会いした際にも,同じようなことを言われたような気がします。たしか,定期的に図書館に行くのは,1人くらいだったような。。

図書館に関連する業界で働く人たちにとって,これらの言葉は非常に重いものです。よく比喩で使われる「茹でガエル(蛙)」にならないように,利用者の声に耳を傾け,危機感を持ってことにあたらなければなりません。

たしかデータ上は,公共図書館の利用者は年々増えているようですが,それらの数字(データ)と日頃の経験(周囲から見聞きすること)が一致しないことに違和感を感じます。こうした違和感,あるいは不安感はだいたいあたるので怖いです。私の周囲に,たまたま「図書館なんかに行かない」人たちが集まったのであれば,よいのですが。

乱気流時代の経営

 ドラッカーをそこまで好きなわけでもありませんが,タイトルが気になって久しぶりに『乱気流時代の経営』(1980)をパラパラとめくってみました。彼の卓越した先見性は確かにあったと改めて思いました。日本でも人気を博している理由がよく分かります。

 今の時代もなお生きるドラッカーのメッセージをご紹介(引用 p. 4-7)します。


 今日の金(Money)は価値の尺度であるとともに,価値そのものであるとされる。しかし,インフレ下にあっては,そのような考えは幻想である。

 自らの組織のファンダメンタルズをマネジメントするためには,売上,資産と負債,利益などの数字をインフレ修正する必要がある。

(中略)

 史上最高利益の幻想は,企業自身に対しても,間違った分析や,行動をもたらす。それは恐るべきマネジメントの誤りを招く。ほとんどの経営管理者がこのことを知っている。にもかかわらず,インフレによる情報の間違いを正そうとする者は,ほとんどいない。

 何をなすべきかは明らかである。難しいことではない。売上,価格,在庫,売掛金,固定資産とその償却,利益などの数字をインフレに対して修正すればよい。厳密でなくてよい。妥当な範囲内でよい。

 この修正を行なわないかぎり,いかに情報をもっていたとしても,インフレのつくり出す幻影の被害者となる。たとえ数字が危険なものであることを承知していても,それが目の前にあるかぎり,自らの知識ではなく,それらの数字に従って行動をしてしまう。ばかげて,間違った無責任な行動をとる。

(中略)

 彼ら(アメリカの経営管理者)は,数字が幻想であり嘘であることを知りつつ,史上最高利益を手柄にする。

 要は,現実を見据えて実力にあった経営を行なわなければならない,ということです。

 2008年9月に終焉を迎えたアメリカ型金融主導の好景気は,まさに,実体経済の伴わないインフレでした。日本もそれに備えることができていなかった。アメリカの金融界で働いていた多くのMBAホルダーたちは,このようなことを知っていたわけで,学んだことを生かせなかったことは残念です。ミンツバーグの『MBAが会社を滅ぼす』にも繋がるような気がします。(※MBAを否定しているわけではありません)

 企業や非営利組織のマネジメントが,乱気流を鎮めるうえで果たすべき役割が『乱気流時代の経営』に書いてあります。図書館関係者の方は,機会があれば,「非営利組織として,自分が図書館を経営するとしたらどうしたらよいのか」ということを考えながら読んでみてください。