アメリカの図書館経営における経営戦略論:1960年代から2000年代

更新が滞ってました。

昨日,日本図書館情報学会春季研究集会で発表いたしました。

発表の題目は「アメリカの図書館経営における経営戦略論:1960年代から2000年代」です。

発表後,何人かの方から熱心な質問を頂きました。図書館経営の研究者が少ないので,学問領域として発展・確立していくためにも,図書館経営に関心を寄せてくれる方がひとりでも増えればいいと思っています。

顧客の期待を超えた別世界の品質。

先日,知人に連れられて,栃木県の山奥まで蕎麦を食べに行きました。蕎麦好きの間では噂になっているお店のようで,食べてみると本当に美味しく感動的な蕎麦でした。(価格はやや高めです)

ただ,それ以上に驚いたのは,もう少し行けば道が無くなってしまうような山奥にも関わらず,午前からお店が混雑(50分待ち)していたことでした。お店のお兄さんに聞くと,平日でもこれくらいの混雑ぶりで,並ばずに入れるようになるのは夕方の4時くらいだとか。

世の中のマーケターたちが,商品を売るために睡眠時間を削って働いても働いても働いても売れない世界とは,まったくの別のところにこのような世界が広がっているとは,本当に驚きです。近年,マーケティングが大事,広報が大事とは,よく言われますが,経営にとってもっとも大切なものを見せつけられたような気がしました。

ついでに。

これに,似たような話で,「プロダクトライフサイクルを超えた品質を提供する」というものがあります。有名な話として,「スイスの機械式時計と日本のデジタル時計」などが,よく例にあげられています。(たしか,4月の日経新聞にもこの例が出されていました)

機械仕掛けのスイス時計は,日本が機械仕掛けの時計をデジタル化・大量生産したことで,駆逐されると考えられていました。つまり,機械式時計は衰退期に入り,デジタル時計が成長期に入ると考えられていたわけです。

しかし,ふたを開けてみると,たしかに一部の機械仕掛けの時計はデジタル時計に置き換えられましたが,スイスの時計はその品質の高さから,今なお高価格で売れ続けています。つまり,スイスの機械仕掛けの時計は,その品質にこだわり続けることで,プロダクトライフサイクルを超えた別世界で生き続けているのです。(一方,日本勢はデジタル時計の価格競争に巻き込まれて困っています)

図書館にとっては,紙媒体の資料が電子媒体の資料に置き換わることが,プロダクトライフサイクルと関係してきます。もちろん,図書館が自ら資料を作るわけではありませんが,このことは強く意識をしておいた方がよいでしょう。

(資料提供ありきではなく)図書館が利用者に提供すべきものは何なのか。そして,利用者が図書館に本当に期待しているものは何なのか。それをもう一度,考え直すことは図書館の未来を明るくすることのように思います。

山奥の蕎麦屋とスイス製機械式時計。

商品やサービスの形態は違っても,このふたつに図書館が並べたら素敵ですね。