図書館の組織形態と業務の変遷: 国立国会図書館の「組織規程」と「事務分掌内規」の分析

ここのところ忙しくしておりまして,ブログを更新できませんでした。このブログにメモ(自分用で非公開)は残しているのですが,それを公開するための文章に書き換えるエネルギーを割けずにおりました。

本日は,研究発表のご案内です。

2010年日本図書館情報学会春季研究集会(第一会場)にて,研究発表を致します。

日時:2010年5月29日(日) 10時20分~10時50分
題目:図書館の組織形態と業務の変遷:国立国会図書館の「組織規程」と「事務分掌内規」の分析
場所:同志社大学 今出川校地(新町キャンパス 臨光館)

この研究発表の背景を書いておこうと思います。

これまでの研究発表で,図書館経営に関する研究が少なく,図書館経営の現場の意志決定の基礎となる図書館に根ざした実証的な図書館経営論が皆無に等しい状況を述べてきました。

例えば,アメリカの図書館では営利企業を対象に開発されたSERVQUALを図書館に適用しようとして,なかなか成果を上げられませんでした。また,ISO 11620は,営利組織を対象とした経営理論であるバランス・スコアカードを基礎に考案されたもので,実際にはあまり使われておりません。つまり,図書館界で用いられている経営理論のほとんどが営利企業を対象とした経営理論を図書館に適用しようとしたもので,あまりうまくいっていないということです。

これは,もとを正せば,図書館に価値を置いた実証的な経営理論(図書館経営論)が存在しないことが理由だと思います。「では,いったいその図書館経営論は何なのか」「具体的にどうやって図書館経営を考えていけばよいのか」といったときに,その答えを図書館界は明確に持っていないわけです。

また,このように実証的な根拠に基づかないことによる影響は,図書館経営の教科書にも及んでいます。具体的には,多くの図書館経営の教科書(の特に「経営」に関する部分で,「政策・法律」の部分は除く)は,営利企業を対象にした経営理論が説明されているか,個人の経験や感覚に基づいた説明がされているということです。つまり,実証的な根拠に基づいた理論的な説明がなされず「そうだからそうだ」という状況に陥っております。(これは研究がないのだから,そうならざるを得ない状況です)

そうなると,さまざまな状況が生じる図書館経営の現場においては,せっかく「図書館経営論」の授業などで学んだことが現場の意志決定に結びつかないということになってしまいます。おそらく,「図書館経営論」の講義は受けたことはあるけれど,いざ経営に携わる立場になるとどうしてよいのかわからないというご経験をされた方もいらっしゃると思います。それは,図書館界に実証的な研究に基づいた図書館経営の理論がないからです。

これらのことを踏まえまして,実証的な研究に基づいた図書館経営論の第一歩(まだまだ本当に前段階ですが)を学会で発表いたします。まだまだ始まったばかりで,多くの方のご意見を頂かなければならないと思っています。

図書館で働く人たちが,自らの手で楽しくいきいきと前向きな意志決定をしていくことができるようになったらいい。経済合理性に流された効率化と縮小ではなく,イノベーションの実施と拡大になったらいい。長期的な視点に立って,明るい図書館の将来像を描けたらいい。そうなるために,図書館経営は何ができるのか。そして,研究者の私には何ができるのか。

もし,学会にお越しいただける方がいらっしゃいましたら,未来の明るい図書館のためにご指導を頂けますと幸いです。